2026年11月3日
【注意喚起】付加断熱(W断熱)の落とし穴 パート①
見た目のUA値に騙されない!壁だけ外断熱の家で結露リスクが高まる理由
こんにちは。大東住宅の高橋です。いつも私のブログを見にきていただきありがとうございます。
さて、家づくりを検討し始めると、「断熱等級」や「UA値」「ZEH住宅やGX志向型住宅」といったキーワードを目にするかと思います。
昨年4月に、省エネ基準が改正され、計算上の断熱数値(UA値)を出来るだけ有利にするために、W断熱(付加断熱を採用)するメーカーが増えています。
しかし、W断熱によって、計算上の数値を良くしただけで、「いい家になる」とは限りません。
住まいの快適性・省エネ性、そして何より「10年・30年・50年先も家が腐らずに耐震性や断熱性を維持できるか」が、重要な課題であり、こうした課題を解決する鍵は、
見た目の数値ではなく「断熱と気密の連続性」と「熱橋(ヒートブリッジ)の解消」「透湿抵抗による(防露計算)」そして「確実な施工」と「正しい暮らし方」にあります。
今回は、建築専門誌のデータを引用しながら、昨今増えている「W断熱(付加断熱)」に潜む結露リスクについて詳しく解説いたします。
1. 急増する「疑似外断熱(外断熱もどき)」のリスク
内断熱に加えて壁の外側にも断熱材を重ねる「W断熱(付加断熱)」を採用しているメーカーの営業マンは、「外断熱は時代遅れです。W断熱は、内断熱と外断熱の良さを融合し、最大の断熱性と省エネ効果を発揮します」とPRしています。
しかし、断熱仕様を確認すると「付加断熱によって壁だけを外断熱かのように見せて、天井裏や床下で断熱する「疑似外断熱(外断熱もどき)」が非常に多く、30年以上も気密や断熱にこだわってきた身として、非常に危惧しているのです。

壁部分の断熱材だけを外断熱にしても、床や天井に断熱しているために、壁と天井裏・床と壁の取り合い部分の断熱ラインや気密ラインは途切れてしまいます。※基礎も屋根もW断熱にしている住宅会社も存在します。
途切れた部分は、気密や断熱が不十分で、断熱欠損を起こし、露点温度以下に冷やされた部分は、内部結露を引き起こすリスクが生じます。
※ 新築後、木材が乾燥し収縮した部分も、すき間が出来て断熱が効いていない状態になります。(断熱材が伸びるというのは?)
充填断熱の最大の弱点は、構造材や構造金物の部分は、断熱されていないために、熱を伝えやすく「熱橋(ヒートブリッジ)」が、構造上避けられないことにあります。※在来であれ、ツーバイであれ壁量全体の最低20%は熱橋となる

付加断熱によって、壁部分の熱橋は、大分解消できる側面はありますが、断熱材の選定を間違えていると思われるケースが多いのです。
※透湿抵抗の低い(湿気を通しやすい)断熱材を内側に充填し、高い(湿気を通しにくい)断熱材を外側に施工しているケースが多い。
【気密・断熱ラインに注目してください】

木材は、鉄やアルミに比べれば、断然、熱を通しにくいものの、断熱材ではないために、冬も夏も熱の通り道になる

※ 例えば、高性能グラスウール100ミリと同等の断熱性能を木に求めると、柱は33センチ角の柱が必要になる。
【建築金物の結露リスク】

【結露リスクを回避する防露対策】
本来、熱橋となる建築金物の防露対策として、良心的な施工業者は、金物部分にウレタンにて、防露対策を施します。

しかし、こうした防露対策に真摯に取り組む業者は、非常に少ないのが現実です。付加断熱や充填断熱を選択する場合は、金物の熱橋対策について、しっかり確認し施工してもらうようにしてください。
2. 【専門誌が警鐘】W断熱の壁の中の「内部結露のリスク」
「でも、壁の外側にも断熱材を張っているから、断熱性が高く暖かいんじゃないの?」と思われるかもしれません。
ここで専門誌『日経ホームビルダー』に掲載された、壁体内結露の計算データ(内部結露分布図)をご覧ください。

(出典:『日経ホームビルダー』掲載データより作成・引用)
【W断熱の壁構造パターン例】
室内 ➔ 内装下地材 ➔ グラスウール16K(100mm) ➔ 合板(9mm) ➔ 押出法ポリスチレンフォーム(37mm) ➔ 屋外
グラフが示す「結露発生」のメカニズム:湿気が壁の中へ侵入する: 暖房された室内から、水蒸気が壁の内部へ流れ込んでいきます。
合板とグラスウールの間で限界値を突破: 外側のポリスチレンフォームは湿気を通しにくいため、水蒸気が壁の外へ逃げられず、構造用面材の手前に滞留してしまいます。(充填ウレタン・外張りにフェノールホームも若干の数値は違いますが同様の現象は起きえます)
結露の発生: 水蒸気量が空気の限界値(飽和水蒸気量)を超えてしまい、内側の断熱材と合板付近で1㎡あたり毎時0.32gの「内部結露(水滴)」が発生するという計算結果が出ています。
※例えば、仙台(4地域)でも、36坪(120㎡)のお宅であれば、0.32g×120㎡×24時間=921gとなり、計算上、毎日『ペットボトル一本(約1リットル)』もの水滴が壁の中で発生し続ける危険性が生じるのです。
見た目のUA値は良くても、壁の構成素材における「透湿抵抗(湿気の抜けやすさ)の計算」を疎かにして安易にW断熱にすると、完成した家では目に見えない壁の中が何年も湿り続け、徐々に断熱性も低下し、木材の腐朽やシロアリ被害、耐震性の低下を引き起こしてしまう恐れがあるのです。
【天井面の気密や断熱が不十分だと小屋裏に結露】
付加断熱の建物は、天井断熱がほとんどですが、気密や断熱が不十分だと小屋裏に結露が発生するリスクが高まります。

こうした問題は、なかなか表面化することはありませんが、壁の中や小屋裏でいとも簡単に発生しうる自然現象だということを理解しなければならないのです。
【瑕疵保険の対象にならない結露被害】
新築時に、義務付けされている瑕疵担保保険は、施工不良や手抜き工事によって、建物に被害があった場合に、補修費が補填される保険です。雨漏りや防水不備の損害は、もちろん対象となりますが、結露に関しては、保証対象外になっています。
なぜ?と思われる方も多いと思いますが、結露は、住まい方にも原因があり、いわゆる欠陥ではないという考え方がベースになっています。
つまり、住まい手が、ファンヒーターを使う・過剰な加湿をする・温度を上げすぎたり、下げすぎたりする。・部屋間の温度差を10℃以上にする・大量の物干しを除湿もせずにする・換気をとめる・メンテナンスの不備で動かないなどによっても、目に見えない壁の中でも、結露は簡単に発生するので、保険の対象には出来ないということなのです。※ 雨漏りなのか結露なのかで、紛争になるケースもあります。
3. 「本物の外断熱+二重通気」がもたらす4つの決定的なメリット
「屋根、壁、基礎」の外側に、連続して断熱することで、熱橋の影響は解消され、高い断熱性(冬)と遮熱性(夏)を発揮します。
高レベルな防露性(壁体内結露を解消):冬も夏も、壁内部の温度が室内に近い一定の温度に保たれる構造のため、露点温度に到達しにくく、結露や湿気による構造の腐朽を家の構造でシャットアウトします。
確実な気密性と地震への強さ:構造の外側で専用の気密テープやビスを用いて家全体を「強固な鎧」のように一体化させるため、大きな地震の揺れを受けても断熱材のズレや隙間が生じにくく性能の低下を大きく抑制します。
高レベルの断熱性、省エネ性が持続:完全な外断熱により、構造自体が蓄熱体として熱を蓄えることで、冬でも最小限の暖房エネルギーで家中が春のような暖かさに保たれます。
遮熱・排熱・配湿効果で夏も快適で省エネ:気密・断熱ラインを外側にすることで、遮熱効果が高く、さらに、床下~壁の中~小屋裏まで、続く内部通気層(インナーサーキット)によって、壁体内の熱気や湿気を専用の小屋裏ファンで、外部へ排出するので、エアコンに頼りすぎることなく、爽やかで省エネな住まいとなります。
C値0.5以下で、正常に機能する計画換気:隙間(漏気)が少ない高気密が保たれるため、24時間換気システムが計画通りに働き、新鮮で綺麗な空気が家中を巡ります。※気密工事完了時と完成時に気密検査を実施し、C値0.5以下を保証、10年後の気密も1.0以下を保証しています。
計算上の数値に惑わされず「30年・50年後の安全」を選びましょう
計算上の断熱数値(UA値)だけでは、壁の中の安全性は見えてきません。
住宅メーカーを比較検討される際は、試しに、こう質問してみてください。「防露対策はどのようにしてますか?」「冬も夏も内部結露は発生しませんか?」「防露計算はしてますか?」
※W断熱の内部結露が大きな問題になりつつあり、冬の結露以上に夏の逆転結露は、温暖化が益々進む中、家の長寿命化にとって大きな課題となっています。
大東住宅の「外断熱・ソーラーサーキットの家」は、屋根から基礎までの気密と断熱の連続性に加えて「二重通気構造」を備えており、季節に合わせて壁の中の空気をコントロールします。
構造躯体を常に乾燥した状態を長期間保ち、家の長寿命化に大きく貢献し、30年、50年先まで、新築時に近い耐震性と健康な空気環境を維持し続けることができるのです。
「本物の外断熱の構造を見てみたい」「壁の中が腐らない理由を確かめたい」という方は、ぜひお気軽に大東住宅の構造見学会やモデルハウスへお越しください。
※次回は、業界でも問題になっているW断熱(付加断熱)の「逆転結露の恐怖」「可変シートの疑問」について詳しく解説しますのでお楽しみに!
- 高橋一夫







