2026年9月5日
相続の基礎知識①
相続が起きたら、まず何をする? 知っておきたい手続きと期限

「相続なんて、自分には関係ない」 「相続なんて、まだ先の話」そう思っている方も多いのではないでしょうか。
しかし相続は、ある日突然始まります。
大切なご家族を亡くした直後は、気持ちの整理もつかない中で、死亡届をはじめ、相続人や財産の確認、遺産分割、税金、不動産の名義変更など、さまざまな手続きを進めなければなりません。
しかも、相続に関する手続きの中には「3ヶ月以内」「4ヶ月以内」「10ヶ月以内」など、期限が決められているものがあります。
「知らなかった」「もう少し落ち着いてから考えよう」と後回しにしてしまうことで、選択できるはずだった手続きができなくなったり、税務上の不利益につながったりする可能性もあります。
そこで今回から複数回にわたり、「知っておきたい相続の基礎知識」について、出来るだけ分かりやすくご紹介していきたいと思います。
第1回は、「相続が発生してから、いつまでに何をする必要があるのか」になります。
【相続は「亡くなったとき」から始まります】
相続は、身内の方が亡くなったときから始まります。
亡くなり、財産を残す方を「被相続人」、その財産を引き継ぐ方を「相続人」といいます。
まず大切なのは、
「誰が相続人なのか」
「どのような財産があるのか」
「遺言書はあるのか」
を確認することです。
預貯金や不動産といったプラスの財産だけではなく、借入金などのマイナスの財産も相続の対象になるため、できるだけ早い段階で財産の全体像を把握する必要があります。
【相続発生後のおおまかな流れ】

【まずは「相続人」と「財産」を確認】
死亡届などの手続きと並行して進めたいのが、相続人と相続財産の確認です。
戸籍などを確認して法定相続人を調べるとともに、
・預貯金
・土地、建物
・株式などの有価証券
・生命保険
・自動車
・借入金、ローンなどの債務
といった財産を調べていきます。
「誰が相続人になるのか」「どこまでが相続財産になるのか」については、今後のコラムで詳しく取り上げたいと思います。
【3ヶ月以内――「相続するかどうか」を判断】
特に注意したい期限の一つが3ヶ月です。
相続では、財産をそのまま引き継ぐ「単純承認」だけでなく、一定の場合には「相続放棄」や「限定承認」という選択肢があります。
例えば、調べてみたら、「預貯金よりも借金の方が多かった」ということも考えられます。
そのため、「財産は何があるのか」を早めに調査することが大切になります。
【4ヶ月以内――準確定申告】
亡くなった方に確定申告が必要な所得があった場合などには、相続人が代わって所得税の申告・納税を行う「準確定申告」が必要になります。
通常の確定申告とは期限が異なるため注意が必要です。
【10ヶ月以内――相続税の申告・納付】
相続税の申告が必要な場合、原則として相続の開始があったことを知った日(通常の場合は、被相続人の死亡の日)の翌日から10ヶ月以内に申告・納付する必要があります。
そのため、
相続財産を調べる
↓
財産を評価する
↓
誰がどの財産を相続するか話し合う
↓
遺産分割協議書を作成する
↓
必要に応じて相続税を申告・納付する
という流れを計画的に進めることが重要です。
【「10ヶ月あるから大丈夫」とは限りません】
10ヶ月と聞くと、「結構時間があるな」と思われるかもしれません。
しかし、戸籍を集めたり、不動産や預貯金などの財産を調査したり、相続人同士で話し合ったりしていると、意外とあっという間に期限が訪れます。
さらに遺産が未分割のまま相続税の申告期限を迎えると、配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例について、当初の申告では適用できない場合があります。
※一定の手続きを行い、申告期限後に遺産分割が成立した場合などに、後から特例の適用を受けられる制度があります。
※この辺りは制度が複雑なので、税理士などの専門家への早めの相談をおすすめします。
【不動産を相続したら「相続登記」も忘れずに】
2024年4月1日から、相続登記が義務化されました。
不動産を相続したことを知った日から原則3年以内に相続登記を申請する必要があり、正当な理由なく義務に違反した場合には10万円以下の過料の対象となる可能性があります。
相続した実家や土地について、「とりあえず、そのままにしておこう」と名義変更をせず放置することは、今後ますます注意が必要です。
【相続は「起きてから考える」だけではありません】
相続というと、「親が亡くなった後に考えるもの」というイメージがあるかもしれません。
しかし実際には、元気なうちだからこそ確認できること、家族で話し合えることもたくさんあります。
・どんな財産があるのか。
・実家を将来どうしたいのか。
・誰に何を残したいのか。
こうしたことを少しずつ整理しておくだけでも、いざというときの家族の負担は変わってきます。
今回ご紹介した「手続きと期限」は、相続について考える最初の一歩です。
次回は、
「誰が相続人になる?意外と知らない法定相続人の順位」
について、出来るだけ分かりやすくご紹介したいと思います。
※本コラムは相続に関する一般的な情報をご紹介するもので、個別の税務・法律・登記等に関する判断を行うものではありません。具体的な手続きについては、税理士・司法書士・弁護士等の専門家へご相談ください。
【相続の基礎知識②はこちら】
- 千葉真弘







