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相続の基礎知識⑩
実家の相続で困らないために。元気なうちに家族で話しておきたいこと

これまで9回にわたり、「相続の基礎知識」として、相続の手続きや相続人、相続財産、相続税、そして実家を相続した後の選択肢などについてご紹介してきました。

第10回となる今回は、これまでの内容を少し振り返りながら、「相続が起きる前に、家族でできること」について考えてみたいと思います。

相続というと、「親が亡くなってから考えるもの」というイメージがあるかもしれません。

しかし実際には、相続が起きてからでは本人に確認できないことがたくさんあります。

では、相続が起きる前にどんなことを考えておけばよいのでしょうか。

まずは、家族で確認しておきたいポイントを図でご案内いたします。

一度にすべてを決める必要はありません。
まずは「どんな財産があるのか」「実家をこれからどうしたいのか」といったところから、少しずつ話してみることが大切です。

特に実家については、

・「この家をどうしてほしいのか」
・「誰かに住んでほしいのか」
・「売却しても構わないのか」

といったことを、親御さんが元気なうちに話しておくだけでも、その後の選択は大きく変わってきます。


【まずは「何があるのか」を知っておく】

第3回のコラムでは、「何が相続財産になる?」というテーマをご紹介しました。

相続財産は、預貯金や実家だけではありません。

土地・建物、有価証券、自動車、生命保険などがある一方で、住宅ローンや借入金などのマイナスの財産がある場合もあります。

いざ相続が発生したとき、

・「どこの銀行に預金があるのか分からない」
・「この土地は誰の名義?」
・「借入金があるとは知らなかった」

となれば、財産を調べるところから始めなければなりません。

細かな金額まで家族全員で共有する必要はありませんが、どんな財産があり、重要な書類がどこにあるのかだけでも整理しておくと安心です。


【実家を「将来どうするか」を話してみる】

前回、第9回では、実家を相続した後の選択肢として、「住む・売る・貸す・残す」という4つをご紹介しました。

ただし、これは相続が起きてから初めて考えなければならないものではありません。

例えば親御さんは、「できれば、この家は残してほしい」と思っていても、子どもたちはすでにそれぞれ自宅を持っていて、「誰も住む予定がない」ということもあります。

逆に、「子どもは実家なんて要らないだろう」と親御さんが思っていても、「できれば自分たちが住みたい」と考えていることもあるかもしれません。

こうした家族の考えのズレは、話してみなければ分かりません。


【建物の状態も確認しておく】

実家について考えるときには、不動産としての価値だけでなく、建物そのものの状態も大切です。

・築年数はどのくらいか。

・今後どのようなメンテナンスが必要なのか。

・そのまま住めるのか。

・リフォームが必要なのか。

・建物を解体して土地として活用した方がよいのか。

例えば、「実家を残したい」と思っていても、今後大きな修繕費用が必要になることが分かれば、家族の考え方が変わることもあります。

住宅会社だからこそ、こうした「建物の視点」から実家の将来を考えることも大切だと感じています。


【不動産としての価値も知っておく】

もう一つ確認しておきたいのが、「この実家はいくらくらいの価値があるのか」ということです。

ここでいう価値は、相続税評価額だけではありません。

・実際に売却するとしたら、どのくらいの価格が考えられるのか。

・賃貸にした場合、需要はあるのか。

・土地として活用できるのか。

相続税を計算するための「評価」と、実際の不動産市場での「価格」は別のものです。

実家の将来を考えるときには、税金と不動産の両方の視点を持っておくことが大切です。


【「誰が相続するか」も大切な話】

実家について家族で話すと、

・「長男が相続すればいいんじゃない?」

・「兄弟で半分ずつにすれば公平では?」

という話になることもあると思います。

ただ、第9回でもご紹介したように、不動産を複数人で共有すると、将来の売却や活用の際に共有者との調整が必要になります。

さらに次の相続が起きれば、共有持分が次の世代へ引き継がれる可能性もあります。

単純に、「平等に分ける=一番良い方法」とは限らないのが、不動産相続の難しいところです。


【「遺言書」も選択肢の一つ】

「この実家は、この子に引き継いでほしい」

「不動産と預貯金を、このように分けたい」

など、本人の希望がある場合には、遺言書を作成しておくことも選択肢になります。

ただし、遺言書を作ればすべて自由に決められるというわけではなく、相続人の遺留分などについても考える必要があります。

大切なのは、「遺言書を書けば終わり」ではなく、なぜそのようにしたいのかを家族にも伝えておくこと。

書類だけでは伝わらない本人の気持ちがあります。

可能であれば、元気なうちに家族で話しておきたいところです。


【相続対策は「税金を減らすこと」だけではありません】

「相続対策」という言葉を聞くと、「どうすれば相続税を減らせるか」というイメージを持つ方も多いかもしれません。

もちろん税金について考えることも大切です。

しかし、

・実家を誰が引き継ぐのか。
・住むのか、売るのか、貸すのか。
・建物は今後も使えるのか。
・家族はどうしたいと思っているのか。

こうしたことを整理しておくことも、大切な相続への備えだと思います。

これまでこのコラムでは、相続を、「相続・税金」 「不動産」 「建物」 というさまざまな角度からご紹介してきました。

実家の問題は、そのどれか一つだけでは答えが出ないことも少なくありません。

だからこそ、親御さんが元気なうちに、家族で「実家の未来」について話してみる。そこから始めてみてはいかがでしょうか。


【相続の基礎知識編は、今回で一区切りです】

第1回の「相続が起きたら、まず何をする?」から始まり、今回で10回目となりました。

相続について調べていくと、「亡くなった後のことだけではなく、元気なうちにできることもある」ということに気づきます。

そこで次回からは、新しいテーマとして、

【「生前贈与の基礎知識」】

についてご紹介していきたいと思います。

「毎年110万円までなら贈与税がかからないって本当?」

「生前贈与は、相続税対策になる?」

「相続時精算課税って何?」

など、聞いたことはあるけれど少し分かりにくい「生前贈与」について、一つずつ分かりやすくご紹介していきます。


※本コラムは、相続・不動産・税制等に関する一般的な情報をご紹介するものです。個別の税務・法律・登記等については、税理士・弁護士・司法書士等の専門家へご確認ください。

【生前贈与の基礎知識①はこちら】