2026年10月23日
【疑問解決】高気密住宅は、冬に乾燥するって本当?
ニュースや湿度計の数字に騙されない!飽和水蒸気量から解き明かす「乾燥感」の正体
大東住宅の高橋です。
モデルハウスにお越しいただいたお客様や体感宿泊したお客様から、よくこのようなご質問や感想をいただきます。
「高気密・高断熱の家って、冬場に乾燥するって聞いたのですが本当ですか?」
「宿泊してみたら、少し乾燥が気になりました。」
実は、大東住宅のオーナー様の中にも、お引き渡し1年目の冬季間は「乾燥気味かな?」と感じられる方が結構いらっしゃいます。
結論から申し上げますと、本物の高気密・高断熱住宅でエアコンや床暖房(水蒸気が出ない暖房)を使い、正しく換気が機能していると、冬の季節に乾燥すると感じるのは「物理的に当然のこと」なのです。
今回は、なぜ乾燥感が生じるのか、その「乾燥の真実」について分かりやすくお話しいたします。
1. なぜ「高気密・高断熱は乾燥する」と感じるのか?
「乾燥している」と感じる背景には、いくつかの理由が存在します。
・ファンヒーターからエアコンへの変化(宮城の気密・断熱が不十分な家ではファンヒーターの使用率が非常に高い)
石油ファンヒーターなどの「室内排気の開放型暖房」は、灯油であれ、ガスであれ、燃焼する際に1時間あたり約300g〜500gもの大量の水蒸気を発生させます。これまで、ファンヒーターを使用していたお家では、室内の湿度が常時60%〜70%に達し、必然的に冷たい窓ガラスや窓枠に結露が発生し、水滴を見ながら暮らしていたため「乾燥」を感じにくかったのです。
・エアコンの風が頭上から吹いてくるので乾燥感を余計に感じやすい
ファンヒーターは足元から風が来ますが、エアコンは頭上から落ちてきます。特に寒い時だけ、入る部屋だけ暖める「間欠・局所暖房」は、部屋が温まるまでは、風量が強くなるので、余計に乾燥感が強まるのです。
※ゆるやかな連続運転を心がければ、風量や音の不快感はなく、逆に省エネに働きます。
・賃貸から戸建てに変わり、LDKの大きさが変化
賃貸APなどの小さなリビングは、加湿器1台である程度の湿度はキープできますが、20畳以上の広いLDKの戸建で換気も機能していると、とても1台の加湿器では、湿度をキープするのは難しくなります。
・湿度計の数字(30%台)による心理的影響
新築を機に温湿計を置く方が増えますが、ニュースで「乾燥注意報」が流れ、湿度計の「30%台」という数字を目にすることで、無意識に「すごく乾燥している」と感じてしまいがちです。
ちなみに、モデルハウスでは人も生活しておらず、料理・入浴・洗濯・呼吸などによる「生活による水蒸気」がほぼ発生しないため、冬場は湿度が30%を下回ることもあります。
2. 「相対湿度」と「絶対湿度」の違いを理解する
私たちが普段「湿度」と呼んでいるものは、正確には「相対湿度(%)」と言います。これは「その温度の空気が含むことのできる限界の水蒸気量(飽和水蒸気量)」に対して、実際に含んでいる水蒸気の割合を%で示したものです。
空気は「温度が高くなればなるほど、たくさんの水蒸気を抱え込める」という性質を持っています。

【温度による空気(1㎥)が含むことの出来る水蒸気の量】
・ 5℃の空気 ➔ 約 6.8g まで(含むことの出来る限界量が小さい)
・ 20℃の空気 ➔ 約 17.3g まで(含むことのできる限界量が大きい)
※ 空気中に含んでいる水蒸気量そのものを絶対湿度(g)といい、限界量に達すると、相対湿度は100%になり結露が発生します。
・外気(5℃・湿度70%)の空気を室内(20℃)に取り込むとどうなる?
冬の屋外(12月上旬~中旬)で「気温5℃・湿度70%」の時、空気1㎥中に含まれる実際の水蒸気量(絶対湿度)は 約4.8g です。(6.8×0.7=4.76)
この空気を換気によって、20℃の室内に取り込むとどうなるでしょう?
20℃の空気は、1㎥あたり、17.3gまで水蒸気を含むことが出来るため、計算すると 4.8÷ 17.3= 27.7となり、室内の相対湿度は一気に「28%」まで下がるのです。※室温22℃だと湿度は24%になる
5℃でも20℃でも、空気1㎥中の水蒸気の絶対量(4.8g)は変わらないのに、「温度が上がっただけで、湿度の数字(%)は低くなる」という物理現象が起きるのです。
※ 実際は、暮らしの中で発生する水蒸気(呼吸、炊事、入浴、室内干し等)が加わるため、概ね35%〜40%程度に落ち着きます。(全熱交換式の1種換気は、室内から排出される湿気も5~6割程度回収される)
3. 「適正湿度」とカビ・ダニ予防のメリット
いかがでしょう?高レベルな高気密・高断熱住宅において、冬場の湿度が35%〜40%前後になるのはごく自然なことというのはご理解いただけたでしょうか?
しかし、この「適度な乾燥状態?」こそが、従来の家で人々を悩ませていた結露はもちろん、カビやダニの繁殖を抑え、アレルギーやアトピー・喘息の症状を大幅に軽減し、掃除の手間やカーテンのクリーニング、掃除用品も含め、無駄な出費を抑えてくれるという非常に大きなメリットをもたらすのです。
家中を温度差2℃〜3℃以内に保った暮らしに慣れると、35%〜40%の湿度でも、喉の渇きを抑え、保湿ケアを行うだけで、驚くほど爽やかで快適に過ごせるようになります。
※ 我が家でも新築当初は、妻が乾燥する~とブツブツ言いながら、加湿器をつけてましたが、何度も説明をして、ようやく理解してもらい加湿器は使用しなくなりました。(枕元には小さな加湿器をつけているようです)
「でもインフルエンザ予防には湿度60%が必要ってTVで見たよ?」「もっと加湿したい時はどうすればいいの?」と疑問をお持ちになった方もいらっしゃると思います。
次回は、テレビなどで専門家?が言う「湿度60%推奨」の落とし穴と、過度な加湿が招く悲劇、そして高断熱住宅ならではの上手な加湿の工夫・裏技についてわかりやすくお伝えいたしますので、楽しみにお待ちください。
- 高橋一夫







