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【注意喚起】付加断熱(W断熱)の落とし穴  パート②「夏の逆転結露」

水蒸気は「冬」と「夏」で動きが逆転する!

 
大東住宅の高橋です。
 
前回のブログ(パート①)では、見た目のUA値(断熱数値)を優先した「壁だけ外断熱(W断熱)」に、潜む断熱の途切れや熱橋のリスクについて解説しました。
 
今回は、その第2弾として、近年、住宅の性能向上に伴い、問題が表面化しつつある「夏の逆転結露(内部結露)」のリスクについて解説いたします。
 
家づくりを検討する際、多くの方は「冬の結露」に目を向けがちです。
 
しかし、水蒸気には「絶対湿度の高いところから、低いところへ移動する」という物理的性質があり、夏にも目を向ける必要性があるのです。
 
ご理解いただきたいのは、冬の内部結露よりも夏の内部結露は、より深刻なリスクが生じてしまうということです。
 
冬の内部結露は、室内側の防湿・気密工事によって結露の発生を抑制し、仮に多少結露しても、暖かくなると自然に乾燥するので、構造への短期的なダメージは、さほど大きくはありません。
 
しかし、夏の内部結露は、昨今の「猛暑」と「エアコンによる冷やしすぎ」と「住宅の高気密・高断熱化」によって、昔の古い家以上に、いとも簡単に、そして大量に、長期間にわたり発生し、いつまでも滞留するリスクを抱えているのです。
 
構造材の腐朽やシロアリ被害の影響によって、断熱性はもちろん、耐震性や耐久性まで損ない、資産価値の低下にも直結する大きな問題なのです。※ 断熱が不十分ですき間が大きい家は、現在の基準では建てられませんが、風が通りやすく、結露が発生しても乾燥しやすい。
 

【水蒸気の動きを理解する】

 

 

冬の水蒸気の動き: 暖房で温まった「室内」から、寒くて乾燥した「室外」へ向かう
夏の逆転の水蒸気: 熱く湿った「室外」から、エアコンで冷やされた「室内」へ向かう

 
※真夏の車で、フロントガラスの外側が曇る現象を想像してみてください。冬の結露は車内側ですが、夏の結露は外側になり、位置が逆転します。
 
気密性や断熱性を高めるほど防露対策は重要になりますが、冬の結露以上に、夏の結露の対処は困難で、様々な問題が生じるリスクを抱えているのです。※住まい手も、正しく理解した上で、室内の温度や湿度管理を含めた丁寧な暮らし方が必要です。
 

W断熱も内断熱(充填断熱)も、防湿・気密施工は、あくまで、冬の結露対策が基本であり、夏の結露対策は難しい

 
・付加断熱も充填断熱も、高気密・高断熱住宅であれば、冬場に室内の湿気を壁の中に侵入するのを防ぐため、室内側に「防湿気密シート」を隙間なく施工するのが鉄則です。※外断熱は構造の外側で、断熱、気密工事を施します。
 

 
・コンセントボックスや配管貫通部などの気密処理も重要で、疎かにすると、湿気が壁内に大量に侵入し、冷やされた木部や金物で内部結露が発生してしまいます。
 

 
通常、内断熱(充填断熱)のみであれば、壁内に侵入してしまった水蒸気は、断熱材と屋外側の透湿防水シートを通過し、外部へ排出されます。仮に多少の結露が発生しても、日中の温度上昇で自然に乾燥し、外部へ排出する仕組みになっているのです。
 
しかし、壁の外側に透湿抵抗が高い(湿気を通しにくい)板状の断熱材をそのまま重ねて張ってしまう「付加断熱(W断熱)」の場合、水蒸気が壁の中で行き場を失って滞留し、結露リスクが生じるケースが出現してしまうというのは前回のブログで説明したとおりです。
 

ここからが本題です。近年の地球温暖化やヒートアイランド現象も相まって、宮城県でも真夏の暑さは年々厳しさを増しています。

 

1. 【データで検証】仙台の夏(35℃・70%)で露点温度は「28.7℃」に!

 
下の表は、気温26℃から40℃までの空気が水滴(結露)に変わる限界の温度「露点(ろてん)温度」を表した表です。
 

 
今年は、さほど暑くはありませんでしたが、梅雨から夏にかけて、30℃~35℃以上の蒸し暑い日が続く夏を思い出してみてください。
 
皆さんがご自宅でエアコンをつける際、室温の設定は何℃にされていますか?
 
一般的には、25℃前後に設定されているお宅が多いのではないでしょうか。
 
※国交省のガイドラインでは、内部結露の危険性から23℃以下にはしないでください。となっています。
 
表を見ていただくと分かる通り、室内を25℃に冷やすだけで、かなり広い条件下で(27℃・90%~37℃・50%)「露点温度が25℃」になり、物理的に、結露が発生する危険性が生じてしまうことがお分かりいただけると思います。
 

2. 「夏の逆転結露」は壁の中のどこで起きているのか?

 
では、W断熱や充填断熱の家で、この逆転結露は一体どこで起きているのでしょうか?
 
一般的に外側に施工される断熱材には、気密処理が疎かになりがちで、夏場は熱気とともに水蒸気が、室内側へ流れ込みやすくなっています。※水蒸気の分子は、非常に微細(1億分の3mm)で、小さな隙間でも、ガラスやアルミ、鉄以外であれば、どんな素材であってもすり抜けます。
 
そして、侵入してきた水蒸気をせき止めてしまうのが、冬の防湿のために室内側に張られた「防湿気密フィルムの裏側(壁の中)」なのです。
 

【夏の逆転結露の発生プロセス】

 
1. 外の水蒸気が、断熱材の継ぎ目や構造の隙間を透過し、壁の内部へ侵入
2. エアコン冷房(25℃以下は危険)により、室内側の気密シート自体が冷やされる
3. 壁の中の温湿状態(高温・多湿)になり、気密シートの温度が露点温度以下になると壁の中で結露が発生してしまう!
 
※ 1枚ガラスの古い家やお店で冷房が効きすぎているとガラスの外側で結露が発生するのと同じ現象です。
 
何とも悩ましいのですが、冬は室内からの水蒸気をブロックし、壁の中の結露を防いでいた気密シートが、逆に夏は「外から侵入した水蒸気を閉じ込めるバリア」となり、見えない壁の中で結露を発生させてしまうのです。
 
そして、行き場を失った微細な水蒸気の分子が、シートの僅かな隙間やビス穴から室内に侵入し、クロスの内側にカビが生えやすくなったり、室内の湿度が上がり、エアコンや除湿が追い付かず「いつもジメジメする」という状況を招いてしまうのです。
 

【施工中でも結露が発生?】

 
夏の逆転結露は、住み始めてからだけでなく、『建築中の段階』からすでに発生しているケースも専門誌で報告されています。
 

(出典:『日経ホームビルダー』掲載写真より引用。
 
画像の事例は、夏の断熱工事中に雨が降ってしまい断熱材や構造が濡れ、結露の知識がない職人さんが、気密シートを施工してしまったことで、発生した事例です。
 
原因は、暑さと雨の影響で、壁中の温度や湿度が高くなってしまい、夜間に室内の気温が下がり、気密シートの温度が露点温度以下になってしまい、シートの裏側で発生した物理現象です。
 
翌朝、現場担当が結露を発見し、気密シートをはがし、十分に乾燥させたのちに、再度気密シートを張り、内装下地材の施工したようです。
 
こうした事例は、手抜き云々ではなく、突然の雨が降りやすい夏の時期、結露に対しての認識が薄ければ、どの現場でも起こり得る典型的な事例なのです。
 
幸い、この現場では、現場担当者の良心に基づいた的確な対応で、事なきを得たようですが、このまま施工が進んでいたらどうでしょう。
 
壁を塞いでしまえば、誰も気づくことができないのです。
 

3. 夏の逆転結露を防止する「透湿可変シート」の登場

 
夏の逆転結露のリスクを解消するために、開発されたのが、湿度の変化に応じて分子の隙間が開閉する「透湿可変シート(調湿気密シート)」です。
 
「冬は室内の水蒸気をブロックし、壁の中の湿度が高くなると、シートに微細な穴が開いて外から侵入した水蒸気を室内側に逃がす」という両面の機能を持ったもので、夏の逆転結露対策として採用する会社も増えてきています。
 
しかし、シートが開いて湿気を室内に逃がす仕組みが機能しても、シートの室内側には「石膏ボード」や「ビニールクロス」が存在します。
 
実際に狙い通りに湿気が室内に抜けていくのか?
 
抜けきれなかった湿気で石膏ボードやクロスにカビが生えないのか?
 
30年・50年という長期間にわたって、シートの可変機能が劣化せずに維持できるのか?
 
こうした疑問について、明確な実証データや保証は見当たらず、シートの化学的機能だけに頼る対策には、どうしても限界とリスクが残るのではないでしょうか。
 

4. 大東住宅の「二重通気(ソーラーサーキット)」という根本解決

 
では、大東住宅はどうやってこの「冬の結露」と「夏の逆転結露」の矛盾を根本的に解決しているのでしょうか?
 
答えは非常にシンプルです。
 
大東住宅の「外断熱・ソーラーサーキットの家」は、屋根から基礎まで連続した外断熱で構造を包み込むと同時に、壁体内に「二重通気層(空気の通り道)」を設けています。
 
床下断熱の住宅では、夏場に高湿な外気が床下に入り込むことで「年間30日〜40日も床下部材が露点温度に達して結露する」という現実も存在します
 

 
夏の床下結露は、夏の早朝に、車のガラスや芝生、木々の葉などが朝露で濡れているのと同じ現象です。
 
朝露は日中、気温が上がれば自然に渇きます。
 
しかし、床下の結露は、敷地の条件によっても多少変わるものの、通気性も悪く、地熱の影響で温度も上がりにくく、なかなか乾かないのです。※ 床下換気口や基礎パッキンに過度な通気性は期待しないでください。
 
大東住宅では、この夏の湿気リスクも構造的にシャットアウトしています。
 

◆ 7月初旬〜9月初旬(高湿度時期)は床下ダンパーは閉じる ※SCナビゲーション(自動制御システム)で自動的に開閉します。

 
外気の湿度が高くなる梅雨から夏の間、床下ダンパーは閉鎖されるので、高湿な外気が床下へ侵入するのを遮断します。※カラッとした湿度の低いは開けてもらっても全然OKです。
 

◆ 【特許】外断熱&二重通気と地熱の効果+自然の力(上昇気流)で、排熱・排湿

 
外気を遮断した床下は、基礎外断熱と地熱の効果で、35℃以上の真夏日でも25℃〜26℃の安定した環境に保たれます。
 
この空気が壁の中の通気層をゆるやかに通り、日射による壁内の熱気や湿気を、小屋裏専用の排気ファンから外部へ排出します。
 

◆ 壁体内も構造材も物理的に、安定した温度と乾燥状態を保つ

 
家の外側で断熱することで、外気の影響を受けにくく、通常、暑くなりがちな壁の中や小屋裏においても、外気温以上の高温にはならず、湿度も抑えられるので、エアコンで室内を冷やしても露点温度に達することは、まずありません。※20℃とか22℃まで冷やすと、結露するかもです。
 
つまり、ソーラーサーキットの家は、逆転結露のリスクを物理的に解消しているのです。
 

◆ 内部通気層(インナーサーキット)は、まるで「自然のサーキュレーター」

 
インナーサーキットは、緩やかながら、冬は暖気の伝達(配熱)の機能と逆に夏は、排熱と排湿の機能を持ち合わせている無料のサーキュレーターともいえるのです。
 
可変シートの機能に頼るのではなく、「二重通気という自然の力」によって家そのものが呼吸し、年間を通して構造躯体を乾燥させる。
 
これこそが、防腐剤や防蟻剤に頼らずとも、何十年後も、性能の劣化を抑制し、家を腐らせない、家の長寿命化を実現する特許技術です。
 

・見えない壁の中の「防露対策」を見極めましょう

 
見せかけの断熱数値(UA値)だけを追求し、安易に付加断熱を採用した家づくりは、益々厳しくなる日本の夏において思わぬ内部結露のリスクを抱え続けることになるのではないでしょうか。
 
大東住宅のモデルハウスや構造見学会では、夏の猛暑日でもなぜ壁の中が乾燥しているのか、外断熱と二重通気の仕組みや実際の構造をいつでもご覧いただけます。
 
「いつまでも強く・いつまでも快適に」住む人と建物の健康と資産価値を守る家にしたいと、考えておられるお客様は、ぜひお気軽に大東住宅へご相談ください。
 
※ 次回パート③では、付加断熱で採用が多い「ウレタン吹付断熱に潜むシックハウス・現場施工不備・構造リスク」について、シックハウス診断士&環境アレルギーアドバイザーの視点から詳しく解説しますのでお楽しみに!