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気密が良すぎるとシックハウスに?

毎週土曜日にデートFMにて、オンエア中のフロー・ライフ・レディオですが、毎月、最終土曜日は、恥ずかしながら私も出演し、住まいと健康についてリスナーの皆さんに色々なお話をお届けしております。

先週の土曜日には、将来後悔しない家づくりのチェックポイントを紹介させていただきました。

まずもってC値という家の隙間をしっかり測定して、最低でも2.0以下、出来れば1.0以下にしてください。

そして、Q値という熱損失係数やUA値という外皮の熱還流率を確認して、Q値であれば1.6、UA値であればZEH基準の20%アップの0.48位にしていただきたいという話をさせていただきました。

また、この数値はあくまで計算値にしか過ぎないので、しっかり施工されているか、現場で確認したり、サーモカメラによる熱画像を提示してもらうなどしてもらうと後々後悔する確率は、グンと下がります。という話をしたところで、続きは次回にということになりました。

そして、ラジオを聴いたというリスナーから、高気密にしすぎると、通気性が悪くなってシックハウスになるのでほどほどにした方がいいですよ。とあるハウスメーカーの営業マンから聞いてたのですがどうなんでしょう?という相談メールが来てました。

今でも、高気密・高断熱・そして、24時間計画換気という名前を聞いただけで、息苦しくて、機械的なイメージを持たれ、拒否反応を示す方がけっこういらっしゃいます。

陽当たりが良くて、風通しのいい家の方が、ある意味自然ですし、昔から日本の住宅は夏を旨とすべしという考えが根強く、一般のユーザーの皆様がこうした思いを抱くのはごく当然のことと思います。

建築業界の中にも、未だにこうした考えを持っている方が、まだまだいるのが現実で、とりあえず気密はそこそことって、義務化だからということで、とりあえず低コストの3種換気を組み込んでいる業者も多く、あまり快適すぎるとひ弱になるとか、ボケてしまうとか、自然換気が一番という建築士の方も少なくありません。

という私自身も、恥ずかしながら25年位前までは、そんな思いを抱いていたのですが・・・(汗)

家の温度差が少ないと、子どもも大人も高齢者も活動量が大幅に増え、高血圧から糖尿病・認知症に至るまで、様々な病の予防や改善につながり、健康寿命も延び、医療費も削減することが、近年様々な調査で明らかになってきています。

家を高気密にするということは、家の中の無駄な隙間を無くすことで、家の隙間と通気性を混同している方も多いのですが、全く別物という理解が必要です。

寒い冬に、外に外出した時を想像してみて下さい。

いくら暖かいカシミアのセーターをきても寒くてたまらないはずです。

ジャンバーを羽織っても前のジッパーやボタンを開けたり、襟元や袖が緩んでいると暖かさは半減します。

それがゆえに、風や雨を通さないダウンジャケットがあるのです。

つまり、いくら断熱材を厚く入れても、隙間があれば断熱の効果は半減し、光熱費ばかりかかる高断熱もどきの家になってしまい、結局は節約意識が働き、我慢を強いられるばかりか、戸を閉め切って暖房するようになり、家の中では、常に10℃以上もの温度差が生じてしまうのです。

家の温度差は、生活のストレスとなるばかりか、ヒートショックの要因にもなり、寒い所に水蒸気が移動してしまい、結果的に局所的に湿度が上昇し、結露も発生しやすくなり、カビやダニの繁殖につながり、住む人と建物の健康を阻害してしまうのです。

そして、気密が悪く隙間が大きいと、空気ばかりでなく、熱も水蒸気も壁の中を行き来することで、春や夏はともかく、冷暖房を多用する冬や夏に、床下や壁・小屋裏といった壁体内での内部結露を引き起こし、目に見えない箇所でのカビや腐朽菌が発生し、室内の空気環境を悪化させるばかりか、家が腐れたり、シロアリを引き寄せ、耐震性や耐久性を阻害する要因にもなります。

隙間が大きい家で、寒ければ寒いなりの暑ければ暑いなりの生活を送っていた昔の家は、耐震性はともかくそれなりに長持ちしていますが、オイルショック以降に建てられた日本の住宅が、30年もたたずに寿命を迎えてしまうのは、中途半端に気密性や断熱性が高まったことと、冷暖房の普及や換気不足も大きな原因です。

さらに、厄介なのが、気密が悪いと折角ついてある換気システムが、計画どうりに働かなくなったり、換気をつけることで、隙間風の侵入をさらに助長するために、寒さを解消するために、換気を消したり、部屋を閉め切って暖房し、益々換気不足となり、空気が汚れてしまうのです。

計画換気では、概ね2時間に1回の割合で、空気が入れ替わる設計になっていますが、計画どうりの機能を発揮させる前提が、しっかり気密をとるということになります。

これは、穴の開いたストローで、ジュースを飲んでも上手に飲めなかったり、掃除機のホースがちょっと壊れただけで、吸い込む力が極端に悪くなったり、折れた煙草が吸えないのと同じ理屈で、隙間が大きいと換気の排気ファンは、空回りするだけで、リビングや寝室の空気は、動かずにいつまでも淀んだままということです。

つまり、気密性能をしっかり確保しなければ

暖房や冷房が効かず不快な上に、冷暖房費が年々かさむようになり、壁の中はカビだらけとなり、空気が淀み、建物も住む人も病気になりますよ。ということなのです。

ご理解いただきたいのは、どんなに高気密にして、計画換気システムを付けたからといって、窓を閉めっぱなしにしなければならないということではありません。

何といっても、換気の王様は窓開け換気で、程よい風速の外の空気は精神的にもプラスの効果をもたらします。

四季を通じて人が心地よいと感じる時には、窓を全開にして開放的な暮らしをしたいものです。

昔は、一日中窓を開けていたり、家の中に誰も居なくても平気で窓を開けていた家もけっこうありました。

しかし、何かと不用心な現代において、たとえ在宅時にでさえ、気軽に窓を開けられなくなってきているのが現実ではないでしょうか。

しかも、窓開け換気は非常に気まぐれで、日本の気候を考えた場合、天気が良くても風が強かったり、風がほどよくても雨が降っていたりと、気象条件は変化し、人が心地よく感じられる日数や時間帯は全体の1割程度しかありません。

また、共働きなどで日中も不在になりがちな生活環境の中で、室内の空気を常に新鮮な状態に保つには、窓開け換気は不向きになっており、虫や砂ぼこり・花粉やPM2.5などの侵入を考慮すれば、これらの物質を除去した上で、綺麗な空気を取り入れることも必要な時代になってきているのではないでしょうか。

人間が一日で摂取する物質で、空気の割合は85%であり、その中でも家庭内の空気は実に平均で57%にもなるのです。

小さなお子さんや女性・お年寄りはもっと多くの割合で、室内空気を取り入れて暮らしているのです。

目にはみえませんが、室内の空気には1,000から2,000位の化学物質が含まれており、これらをなくすことは、現実には不可能で、普通の家では外の空気の10倍位汚れているという理解も必要です。

案外、見落としがちなのが人の生活や呼吸によっても、空気は汚れているということで、空気中の酸素を消費した分、二酸化炭素を吐きだしているのです。

つまり、呼吸によって取り入れた分の酸素は減少し、逆に二酸化炭素は増加しているのです。

空気清浄機を設置しているご家庭も多くなりましたが、清浄機は空気をろ過して循環させているだけですので、あくまで換気が主役で清浄機はそのサポート役という理解が必要です。

ドラッグストアにいくと、様々な消臭剤や芳香剤・香り付きの洗剤や柔軟剤などが所狭しと並んでいます。

臭いを消したり、ごまかすために、これらを使用しても、匂いの元を除去する事は出来ず、逆に換気も悪いと、製品に含まれる化学物質が室内に滞留し、健康に悪影響を及ぼしてしまうのです。

カビの増殖やダニの繁殖を抑えるためにも、常に新鮮な空気を取り入れ、汚れた空気を外に排出させる室内の換気は非常に大事なことです。

温度と湿度のバリアをなくし、綺麗な空気に満たされて暮らすことは、日々の生活で生じる様々なストレスを軽減し、元気に明るく健康に暮らす源となります。

あまり、神経質になっても逆にストレスになる側面もありますが、人間は人生の半分は家で暮らし、3分の1は寝室で睡眠をとっており、免疫が高い若いうちは、体力や気力でカバーできますが、高齢になればなるほど、家の空気環境が、体に及ぼす影響が徐々に大きくなってくるのです。

病を予防し、ご家族の健康を守るためにも、健康寿命を延ばすためにも「空気の守り役」として、計画換気を考えていただきたいと思います。

そのためには、気密検査を実施して、C値という家の隙間の面積を示すC値は、最低でも1.0以下にしてくださいということなのです。

無垢材や漆喰など自然素材を活用するのはいいことですが、いくら素材を吟味しても、気密性を疎かにした住まいは、精神的には満足するかもしれませんが、実際の住み心地や光熱費・健康への影響を考えると将来後悔する可能性は高くなるはずで、そのような健康住宅や省エネ住宅は、絵に描いた餅ともいえるということをご理解いただきたいと思います。

あくまでも、気密や断熱・換気ファーストで、素材やデザイン・価格の検討はその次ということです。

※ 家の隙間がもたらす自然換気(隙間風)は、室内外の温度差が大きいと換気の作用が働きますが、温度差がなければ、よほど風が強くなければ空気の出入りはなく、ほとんど換気の作用は働きません。真夏日の暑い夜に、いくら窓を開けても風がなければ涼しく感じないのは、外と家の中の温度差があまりないからで、外出して家に帰るとカビや諸々の臭いでむっと感じるのも同じ理由です。つまり、隙間換気が作用するのは、基本的には冬期間や春・秋の外気温が下がった夜間に限られるということをご理解下さい。